麻太郎のVOCALOIDつれづれ日記

ひょんなことで初音ミクをいじるようになったオサーンのつれづれ日記。 ニコニコ界隈ではボカロPとして認知されているらしいが、今でも全く実感がわかなかったりする。コメント大歓迎!なるべく返信するようにします。

SilとAspを使おう!

【2016/12/14修正:VOCALOID4に対応】
タイトルですが、ボカロ使いなら知る人ぞ知る「発声されない発音記号」です。
VOCALOID2(以下、V2)から入ったものですが、意外とご存じない方もいらっしゃるようなので書いてみました。

勝手な推測ですが、「Sil」=「Silence」(沈黙)、「Asp」=「Aspiration」(帯気・吸排気)の略だろうと解釈しております。
マニュアルの発音記号表には記載がないので非公式のようですが、恐らくはV2以降の全ボカロで使用可能だと思います。
なお、両者の違いを言葉で説明すると分かりづらいので、以下の画像で作用の違いをご理解ください。

SilとAspの違い:
赤線が実際に発音されるピッチで、線が途切れている箇所は発音されない。
Aspは前後ノートのピッチに影響を与えるが、Silは純粋な休符として働く。


何でこんなものを取り上げたかというと、結構使えると思うからです。

以下、簡単に解説します。

あるノートと次のノートの音声を滑らかに繋ぐというのは、VOCALOID音声合成エンジンの重要な機能の一つです。
この機能、滑らかに歌唱させるには確かに不可欠ですが、場合によっては邪魔になることがあります。
例えばアルペジオ(分散和音)を歌わせたい場合、和音を綺麗に響かせるためには音を引きずってほしくないわけですが、この「滑らかに繋ぐ機能」のおかげで音を引きずってしまいます。
すなわち、あるノートの後ろに下降〔or上昇〕するノートがあれば、そのノート末尾のピッチが垂れて〔or上ずって〕しまうのです。(上昇の場合は下降ほど気になりませんが。)
この現象は音声が完全に途切れるほどノート間隔を空けても変わりませんし(思いっきり空ければ話は別です。念のため。)、表情コントロールプロパティのベントの深さや長さをゼロにしようが、ポルタメントに関するチェックを外そうが同じです。
しかも、VOCALOID3(以下、V3)では「より一層の滑らかさ」を追求した結果、皮肉にもこの現象がより一層顕著に出るようになりました。
注:V3, V4では、フレーズ末尾などで後ろに下降ノートがなくてもピッチが垂れ気味になるようです。

さて、これをどう解決するか?

トラックを分けるとかパートを分ける(V3以降)といった荒技もありますが、不自然さを避けるのは難しいです。
ましてやPITをいじって矯正するなんぞ、考えただけでもゾッとします。
そこでSilやAspの出番となるわけです。

これらを使った引きずり防止策としては、次ノートが下降で末尾ピッチが垂れて困る場合、そのノートの後ろに同じ音高で短くSilやAspのノートを付けてやります。
発音記号がSilまたはAspになっていれば良いので、歌詞部分の文字はどうでも良いのですが、私は分かりやすいように*(アスタリスク)を使っています。
SilとAspのどちらがより好ましいかは場合によるので、色々試してみてください。


使用例1:このようにノート間に埋め込む。
モーツァルト魔笛「夜の女王のアリア」断片だが、これがないとグニョグニョ音を引きずって音楽にならない。

ただし、ノート間にSilなりAspなりを埋め込めるスペースが必須です。
このスペースが確保できない場合、前述のトラック分けやパート分けといった方法しかありません。

応用編としては、ノート末尾でピッチをしゃくり上げたいような場合にも使えます。
しゃくり上げたいノートの後ろに、より高いノートとして付けてやります。
どのくらい高くするかや、どのくらい離すかによって、しゃくり具合がコントロールできます。
下手にPITをいじり回すより、こちらの方がお手軽だと思います。


使用例2:しゃくり上げの例(この場合はAspを使用)。置き場所を変えるだけでかなりコントロールできる。

理想は、音声を滑らかに繋ぐ機能のオン・オフが各ノートの表情コントロールプロパティで簡単にできることです。
またまた何とかなりませんかねぇ?YAMAHAさん。